2025年5月22日木曜日

頸肩部鍼灸施術の要領

1、相手の訴えと発症の時期ときっかけ等を十分に聞く。

2、全身の観察、各種テスト

        トレンデレンブルグ・SLR(ハムストリングの伸展)・内外パトリック

        頸部の可動域(回旋・側屈・屈曲・伸展)

        肩関節の可動域(屈曲・伸展・外転・回内回外)

        頸部神経圧迫テスト(サービカルコンプレッション・牽引・胸郭出口圧迫)

3、痛みやしびれの発症原因を考察

        神経根に由来するものか、胸郭出口に由来するものか、等々

4、筋肉と関節をどう考えるか。解剖学が必須。

        前斜角筋 C3-6横突起前   ⇒ 1肋骨前

        中斜角筋 C2-7横突起後 ⇒ 1(2.3)肋骨前外

        後斜角筋 C5-7横突起後 ⇒ 2肋骨外側

※ 胸郭出口圧迫 斜角筋の起始停止の圧痛硬結を見つけ対応筋をストレッチ

        小後頭直筋 環椎後結節 ⇒ 後頭骨下項内側

        大後頭直筋 軸椎棘突起 ⇒ 後頭骨下項外側

        上頭斜筋    環椎横突起前部 ⇒ 後頭骨(完骨穴)

        下頭斜筋 軸椎横突起 ⇒ 環椎横突起後部

        その他インナーマッスルに対して

        僧帽筋 胸鎖乳突筋 菱形筋 肩甲挙筋 上肢筋 等

5、脈診(六部定位)

        L 寸 関 尺(沈)  心(H)  肝(LV)   腎(K)

                            (浮)  小腸(SI)  胆(G)  膀胱(B)

        R   々  (沈)  肺(LU)  脾(SP)  心包(HC)  

                           (浮)  大腸(LI)  胃(ST)  三焦(TH)

6、Oリングテスト

        脈診結果と手足要穴Oリングテストにて検証し 左右経及び虚実を決定する。

7、症状と経絡と筋・関節を総合的に見て取穴し施術後変化を確認し、有効無効を判断。

        井栄兪経合 原穴 郄穴 兪穴 募穴 他

8、有効無効の判断は Oリングテスト 各種テストの再確認 症状の変化による。



        

        

2025年5月16日金曜日

受領委任制度の実務実施について

 平成31年1月1日から はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧の受領委任制度が導入された。

 県師会会員から実務経験1年が必要と相談を受け(令和6年はりきゅう免許取得)、実務を引き受けることにした。ここに届出書類等を記録する。

東海北陸厚生局

あはき療養費受領委任の手続きについて

必要書類

1、療養費の受領委任の取扱いに係る申出(施術所の申出) 別添1(様式第2号)

2、療養費の受領委任の取扱いに係る申出(同意書) 別添1(様式第2号の2)

3、療養費の受領委任の取扱いに係る申出事項の変更等  別添1(様式第4号)

4、実務者の免許証の写し

2014年10月30日木曜日

過去診療録(小児の夜泣き)

夜泣き

1歳3ヶ月 女児

症状
以前より夜泣きで悩まされている。1週間前風邪で38℃の発熱。現在解熱しているが体調不良のためか夜泣きがひどい。

所見
軽い喘鳴あり。

施術
員利鍼にて背部・腰部と腹部を軽擦する

結果
1回の施術で静かになったと母親が大喜び。小児鍼で撫ぜただけですぐに反応してくれる小児の生命力に脱帽。

過去の半身麻痺リハビリ相談

2006.8.12
半身麻痺のリハビリ

脳梗塞による左半身麻痺(メール相談から)
 脳梗塞による左半身麻痺でメール相談を受けました。
 30代で発症して、自分の身体が思うようにならない苛立ち、不安等、本当につらいと思います。
 以下、私の返信をここに載せ、半身麻痺で苦労している方々のリハビリのヒントになれば幸いです。
半身麻痺に対してお答えします。(言語障害に関しては専門外です)
■現状
 身体は筋肉が左右前後深部と浅部のバランスをとって支え動かしています。
 神経がその指令を出していますが、壊れた部分からは指令が出ないので当然動かなくなり、筋肉バランスを崩します。
    今まで、左右の手足でバランスをとっていたものが、右側だけでバランスを取らなければならないので、右側手足の一部に過緊張部分ができ、左麻痺をいっそう引き立たせます。
    当然、顔や背中や腰等の筋肉もアンバランスになります。筋肉が動かないとリンパ液の動きが鈍り、むくみ・重だるさ・しびれ感・痛み等に悩まされます。
 脳神経が壊れた部分は取り戻すことは出来ません。よって、現在ある機能を如何に高めて不足した部分を補うかが一番の課題です。
■鍼灸は効果的か
    筋バランスとリンパ液の動きを改善して効果があると思います。しかし、それよりも、日々の運動が最も有効なリハビリとなります。自分の出来る範囲で毎日行ってください。
■対策
①はじめに
 日によって調子の悪い時もあります。
 逆戻りしたのでなく、半身麻痺というハンディーがあるのですからあたりまえです。
 きついようですが、そのハンディーから逃れることは出来ません。
 そのハンディーを克服するのがリハビリです。
    これより、一人で出来る運動法を書いてみますが、
    出来ないからとめげないで下さい。
    徐々にコツがつかめると思います。
②運動における注意
    半身麻痺があり偏っているのですから強い力で運動するともっとゆがみます。その為、数回やると苦痛でいやになります。あまりいい運動とはいえません。
    強く働いている筋肉を休ませて弱っている筋肉を使うのだと思ってください。目を開けて横目にならないようにして、麻痺側の手足が軽く感じる所で、「これで運動になるのか」と思うくらい力はいりません。また、運動範囲もそんなに大きくなくて結構です。
③身体のねじり
  リハビリには、捻る筋肉が重要です。
  左は麻痺しましたが、右側は動きます。右側の捻る筋肉をうまく使うと身体のバランスを取り易くなります。
  a ベッド上で健側(右側)の足や手で胴体を捻る動作をしてみてください。
    例1 右手を頭上(やや外より)に上げ右背中を反らせ気味にする。
            この時、首はねじれを逆にします。(手の方向に顔を向け見る)
    例2 右足を立て膝にして足でベッドを踏み付けるようにすると
            右尻が浮いて右背中が反ります。
            この時、首はねじれを逆にします。(右側に顔を向ける)
  b イス座りで胴体を捻る方法
    例1 ゆるいゴムバンドを縛り付けた柱の前に座り健側の手で引く。
            肘は脇にこするようにして、手のひら側を上にして
            手で引き付けるというよりも腰の回転で引き付ける感覚です。
            足裏全体が床に付くよう踏みしめて(右だけでも)
            ゴムの力で尻の体重が足に移動する感覚です。
            腰は回転しますが顔も目も正面を向いています。
            これで捻じれが出来て、倒れそうな感覚がなくなります。
④健側のストレッチと運動
 右手で倒れないように柱でもどこでも掴まりますね。その為、右肩・右肘が硬く動きが悪くなってきます。特に肩の前方と「力こぶ」と肘の内側に力が入ってきます。
 右手を頭の後ろに手をやるような格好で胸を開き肘を伸ばし外側にひねってストレッチしましょう。(気持ちの良い所へ)
 右の手足・と体幹部を使い自由に運動します。特に手では外捻りを中心にし、足は股関節を中心に、また体幹部(腰や背中)は左右の捻りを中心にやります。
⑤麻痺側の運動
    動かせる範囲でいいですから
 a 体幹に近い関節から動かしてください。(肩や股関節から)
  b 同時に複数の関節を動かさない。
  c 痛くない範囲で結構です。
※体幹と右側(健側)の運動をしていると徐々に麻痺側も動きやすくなってきます。
■終わりに
 1に運動。2に運動。3にストレッチ。
 まず、背骨のひねりをして、次に右(健側)手足の運動。その後に麻痺側の運動です。
 あせらないで 気持ちよい体位、気持ちよい運動がベストです。一つの運動に集中しないでいろんな動きを取り入れて見ましょう。
 目と顔は正面を向いて横目に注意しましょう。気持ちの良い運動法を見つけてください。
 テレビのコマーシャル時間に常にこの運動を取り入れてみたらどうでしょう。20~30秒位なら飽きはこないでしょう。
 苦痛な運動や息を止めた運動は目を閉じたくなります。
 目を閉じると動きがばらばらになり強い筋肉しか動かず、アンバランスになりがちです。

過去診療録(腰痛3症例)

2009.1.14
スポーツマンの腰痛と膝痛

高2 男性 ラクビー
症状
1ヶ月前から右腰痛(腎兪付近)と右膝痛(膝蓋靱帯部)あり。
腰痛はふとした動作で痛みが走る。右膝は大分軽減してきたがボールは強く蹴れない。
本日、病院にて検査してきたが骨には異常なしとの事。

所見
アダムステスト=陽性 腰部の左側屈痛(右側)あり その他の動作痛なし 腰部に著明な圧痛なし
膝の靱帯テスト異常なし マクマレーテスト=外反時僅かな違和感あり 僅かな熱感もあり
筋力低下=右大腿筋膜張筋・右大腰筋・左小臀筋

方針
右腰部筋肉の痛みであると判断し、キネシオテープを中心に施術を行うこととする。
脈診&Oリングテスト
左脾虚 右胆実 右三焦虚

施術
アイシング:右膝(15分)
補鍼:左三陰交・右中渚  寫鍼:右風市・環跳  右腎兪刺鍼
キネシオテープ:左小臀筋 右大腿筋膜張筋
右大腿筋膜張筋と右大腰筋のストレッチ及び相撲の四股風スクワット(左小臀筋強化)を指示

結果
胆経寫鍼と右大腿筋膜張筋テープにより前屈痛消失する。

考察
 腰方形筋テープでは症状軽減は見られなかったが右大腿筋膜張筋テープで痛み消失する。
 施術後に「右大腿筋膜張筋の緊張が膝と腰に負荷を掛けたのだろう」と話すと、実はそれ以前に股関節の外側部(同筋腹)を強打して暫く痛かったとのこと。
 右大腿筋膜張筋の筋腹拘縮による腸脛靱帯緊張を確信した。それが右腰部の深部筋及び大腿四頭筋から膝に影響をもたらしたと思われる。

2006.7.19
ぎっくり腰

30代 女性 事務員

症状
2日前に中腰姿勢で腰がギクッとなる。
昨晩から今朝にかけ痛み強くなり熟睡できなった。しかし、仕事忙しく今日は無理して出勤。
勤務後つらくて来院。痛む場所は仙腸関節付近全体。下肢痛はない。

所見
やや前屈姿勢である。仙腸関節付近の圧痛は無く、第4と第5腰椎棘突起の左側に圧痛があり熱感をともなっている。
脈診では、脾虚 胆実。

方針
左第4-5腰椎椎間関節の炎症があると思われ、消炎を目的に一番無理のこない左を上にした側臥位で加療する。

施術
左第4-5腰椎椎間関節のアイシング。(20分)
肩背部の散鍼後、左三陰交補鍼 右環跳寫鍼

結果
3日後に来院。軽度の体動時痛あるが良好。
初診日は施術直後から痛み半減しぐっすり眠れたとのこと。

考察
左第4-5腰椎椎間関節の炎症をかばって仙腸部に痛みを感じたのであろう。
アイシングが奏効したと思われる。

第2回目施術
初診の次の日から鼻水とくしゃみ止まらなくなるという。

所見
左側屈と背屈で軽度の痛みあり
脈診では 腎虚 胆実

施術
右復溜補鍼 左列欠補鍼 右環跳寫鍼  肺兪と風門に補鍼

結果
胆経(環跳)寫鍼で腰痛なし。
術後、鼻塞がりが無くなすっきりするという。

考察
初診と次回では、脾虚から腎虚に変化したが術後に鼻水が止まり診断に間違いは無かったと思う。
いずれにしても右胆経の寫が有効であった。左腰部の炎症をかばって右臀部筋に負担がかかっていたのだろう。

2006.5.30
腰椎分離症

高校2年男子
症状
 中学の時から野球を続けているが当時から腰痛あり病院の検査では脊椎分離症と診断された。前かがみとバットを振る(右打ち)動作が最もつらく、日常も鈍痛で悩まされている。

所見
 L4-L5間に軽度の階段現象。左右トレンデレンブルグtest陽性。左右ハムストリング緊張(左強)。右腸脛靭帯緊張。腎虚胆実。

方針
 通常は分離症だと背屈がつらいものだが、彼は前屈痛がある。ハムストリング緊張のせいであろう。右腸脛靭帯と左ハムストリングの緊張緩と、低下筋の強化を図り、バランスよい体に持っていく事を目的とする。 腰椎の前湾防止のため施術体位は仰臥位(下腿部にブロック)左側臥位(右腸脛靭帯緊張の為)のみとする。

施術
右陰谷、左飛陽に補鍼、右環跳に寫鍼。肩背部に散鍼。腰部の鍼せず。右大腰筋ストレッチ。左大腿四頭筋強化、腹筋強化を図る(軽い抵抗運動)。

経過・考察
 初診から4日間連続加療した後、週1回で1ヶ月間施術した。トレンデレンブルグtest陰性となり動作痛・自発痛軽減する。 前後左右の筋肉バランスをとることが重要と思われる。また、腹筋力も重要だが腹筋運動は大腰筋や大腿四頭筋を使わないようにしないと腰痛を悪化するのでやり方に注意が必要である。 強い運動により悪化するが、ストレッチや筋強化により改善していくと思う。

過去投稿(呼吸について)

2006.4.25

呼吸について

呼吸は通常では意識をしていませんが、強く吸ったり吐いたり又は止めたりと自由に出来ます。 この呼吸をコントロールして身体の管理もある程度可能となってきます。 
胸郭(きょうかく)と呼吸筋
 胸郭は背骨と肋骨と胸骨で取り囲まれ、下の方からエアスプレーの底のように丸く塞がった横隔膜の収縮により底の丸みを無くして胸郭を広げ(吸う)、弛緩によって吐いています。(主動筋) また肋骨についている小さな各筋肉も横隔膜と共に胸郭を広げたり縮めたりして協力しています。(協力筋) この他にも胸郭に付いている首・肩・胸・腹・背・腰の各筋肉が補助しています。(補助筋) 
補助筋等への負荷
 横隔膜の働きが弱いと、補助筋等への負担が大きくなります。 肋間筋の緊張で肋間痛、首にある斜角筋群や後頸部の緊張で手や頭部に影響し、肩甲骨に付いている筋群の緊張は肩等の障害を引き起こす事があります。 また、背中や腰の筋群も過緊張となり足にまで影響していきます。 逆にいうと、呼吸により身体をある程度コントロールできるという事です。 
胸式呼吸(口と鼻の違い)
 最近、鼻で呼吸をしない人を多く見ます。 口だけの呼吸は、後頚部の筋が緊張して吐くことが不得手です。もっと吸おうとして背中も緊張してきます。 鼻呼吸はこれを防ぎ、肋間や首の筋肉が適度に伸縮され血液循環を促し、肩こり解消にもなります。 背筋を伸ばして頭の”つむじ”が天井に伸びる感じで、顎を引き奥歯をしっかり噛んで鼻から吸い、口を軽く緩めると口から抜けていきます。奥歯の弱い人はしっかり噛めませんが、口と鼻を横に広げるような表情を作って吸います。このときの注意点は、重心が後ろに行かないように足の指に力を入れ、背中を反らさない事です。 
横隔膜と腹式呼吸
 通常、仰向けに寝てお腹を触ると吸った時にお腹がふくれます。これが腹式呼吸です。 仰向けで、この腹の上下を意識して行なうことにより腹式呼吸の訓練になります。但し、お腹を膨らますために、肩背とお尻を支点にしてブリッジ状にお腹を膨らませてもだめです。腰を痛めるのが落ちです。お腹を膨らます分、腰が浮かないように腹筋の力が必要となります。 起きてやる時は、前述の鼻呼吸の姿勢で下腹部を意識して吸うほどに腹に力を入れ腹圧を掛けます。 その圧をゆっくり緩めると息が自然に抜けていきます。 とりあえずは、肩首や手足に力が入ったときはもう息を抜くタイミングだと思ったほうがいいです。また、特に口呼吸の人は胸郭が広がりすぎているので、最初に溜息をつくか、2~3度に分けて腹を使って息を吐いてからのほうがやり易いと思います。 この呼吸によって自律神経が安定し全身の血行を促します。 
腹筋の働き
 腹筋は、強く吐く時に肋間筋と共に肋骨を引き下げるよう働きます。また、腹式呼吸の吸気つまり横隔膜収縮時には動きのある肋骨を起点にしているので、その肋骨を固定するため腹筋が重要な働きをします。 みぞおちの骨(剣上突起)が尖って出ている人は横隔膜の位置が高すぎ、胸部を圧迫しています。逆に、その骨が全然触れない人は横隔膜の位置が低く、内蔵下垂となります。 これをコントロールするのは腹筋と肋間筋です。

過去施術録(肩こり3症例)

2006.12.11

① 20代女性 肩こり の 2症例

2症例とも両肩甲上部の肩こり強くつらくなるとゴリゴリ揉んでいるとの事。
症状は同じだが対処法が少し違っていたので報告する。

1症例
 両肩甲上部のコリと側頸部の緊張強い。
 施術
  鍼は単刺で 左三陰交 左神門 の 補鍼
          右陽輔・環跳 右外関 の 寫鍼
2症例
 両肩甲上部のコリ 手足の冷えと頭痛を伴なう。
 施術
  鍼は単刺で 左曲池 右足三里 の補鍼
          胃兪 大腸兪 の補鍼
  糸状灸3壮 左曲池 右足三里

両症例とも以下手技を施す
  左肩外旋筋(棘上筋・小円筋・広背筋)ストレッチ
  右肩内旋筋(大円筋)ストレッチ
  斜角筋調整

結果
 症例1は鍼だけで軽快しストレッチも大変有効であった。
 症例2はやや軽減するも軽快とまではいかない。

考察
 肩甲上部の肩こりに対して強く揉んだり強く圧すとよいと思っている人が多いが悪くなることが多い。ここは頚椎上部から始まる肩甲挙筋の停止部に当たり、何らかの原因でこの部分が強く引かれるため重くなるのであり、僧帽筋上部よりも重要な意味があると思う。
 原因としては、
   ①腕の使いすぎで脇の筋肉が緊張
   ②首の異常
   ③胸郭の動きが悪く、呼吸の補助筋として働いている場合
   ④骨盤のゆがみや側湾による場合  etc
 この原因を解決しないで症状だけを追っていると悪化させることになる。
 症例1は腕の使いすぎで上肢の緊張が取れて軽快したと思われる。
 症例2は胃弱で胸郭の動きが悪く効果が少なかったと思われる。
置鍼して時間をかけるべきであった。胃経・大腸経の補をしっかりとして、効をあせってはいけない。


② 肩こりの症例

患者:成年男子
症状
右側の首・肩・背・腰が凝る。本人は、右側にショルダーバッグを掛けるからだと言う。
所見
①左右首・肩・背・腰部の筋が張っているが、特に胃の裏側が顕著。 ②お腹は、右肋骨の下(肋弓)に圧痛と緊張あり。 ③右肩上の筋肉(僧帽筋中部)・腕の力こぶ(上腕二頭筋)・胸の筋(大胸筋)に強い緊張あり。 ④筋肉はしっかりしているが全体に緊張気味で張っている。
方針
「油物を食べるとどうか」と聞くと胃がもたれ易いとの事。胆汁関係か胃または十二指腸の負荷が考えられる。 右胃経虚(Oリングテストによる)
施術
①右足の膝下(足三里)と胃の裏側(胃愈)を中心に心地よい押圧と全身の筋緊張をほぐす。 ②首の付け根の左側動可(頚椎7番)と右中僧帽筋ストレッチ。 ③腕を伸ばしてもらい軽い抵抗を加える(上腕三頭筋緊張)→上腕二頭筋の筋緊張が軽減する。 ④息を強く吐いてもらい腹筋に緊張を与える→横隔膜緊張→肋骨(胸郭)に動き→胸の筋(大胸筋)の緊張取れる。参照⇒⇒⇒呼吸について

考察
 施術により症状軽快するが、内臓への負荷が強いように思われるので数日でまた戻るであろう。ただし、戻るからといって施術が無意味ではなく、症状が軽減している時は自然治癒力が高まるので、繰り返し施術が必要。 また、病院で内臓疾患の有無を検査するほうが無難で、食事やストレス等の注意が必要であろう。