2014年10月30日木曜日

過去診療録(腰痛3症例)

2009.1.14
スポーツマンの腰痛と膝痛

高2 男性 ラクビー
症状
1ヶ月前から右腰痛(腎兪付近)と右膝痛(膝蓋靱帯部)あり。
腰痛はふとした動作で痛みが走る。右膝は大分軽減してきたがボールは強く蹴れない。
本日、病院にて検査してきたが骨には異常なしとの事。

所見
アダムステスト=陽性 腰部の左側屈痛(右側)あり その他の動作痛なし 腰部に著明な圧痛なし
膝の靱帯テスト異常なし マクマレーテスト=外反時僅かな違和感あり 僅かな熱感もあり
筋力低下=右大腿筋膜張筋・右大腰筋・左小臀筋

方針
右腰部筋肉の痛みであると判断し、キネシオテープを中心に施術を行うこととする。
脈診&Oリングテスト
左脾虚 右胆実 右三焦虚

施術
アイシング:右膝(15分)
補鍼:左三陰交・右中渚  寫鍼:右風市・環跳  右腎兪刺鍼
キネシオテープ:左小臀筋 右大腿筋膜張筋
右大腿筋膜張筋と右大腰筋のストレッチ及び相撲の四股風スクワット(左小臀筋強化)を指示

結果
胆経寫鍼と右大腿筋膜張筋テープにより前屈痛消失する。

考察
 腰方形筋テープでは症状軽減は見られなかったが右大腿筋膜張筋テープで痛み消失する。
 施術後に「右大腿筋膜張筋の緊張が膝と腰に負荷を掛けたのだろう」と話すと、実はそれ以前に股関節の外側部(同筋腹)を強打して暫く痛かったとのこと。
 右大腿筋膜張筋の筋腹拘縮による腸脛靱帯緊張を確信した。それが右腰部の深部筋及び大腿四頭筋から膝に影響をもたらしたと思われる。

2006.7.19
ぎっくり腰

30代 女性 事務員

症状
2日前に中腰姿勢で腰がギクッとなる。
昨晩から今朝にかけ痛み強くなり熟睡できなった。しかし、仕事忙しく今日は無理して出勤。
勤務後つらくて来院。痛む場所は仙腸関節付近全体。下肢痛はない。

所見
やや前屈姿勢である。仙腸関節付近の圧痛は無く、第4と第5腰椎棘突起の左側に圧痛があり熱感をともなっている。
脈診では、脾虚 胆実。

方針
左第4-5腰椎椎間関節の炎症があると思われ、消炎を目的に一番無理のこない左を上にした側臥位で加療する。

施術
左第4-5腰椎椎間関節のアイシング。(20分)
肩背部の散鍼後、左三陰交補鍼 右環跳寫鍼

結果
3日後に来院。軽度の体動時痛あるが良好。
初診日は施術直後から痛み半減しぐっすり眠れたとのこと。

考察
左第4-5腰椎椎間関節の炎症をかばって仙腸部に痛みを感じたのであろう。
アイシングが奏効したと思われる。

第2回目施術
初診の次の日から鼻水とくしゃみ止まらなくなるという。

所見
左側屈と背屈で軽度の痛みあり
脈診では 腎虚 胆実

施術
右復溜補鍼 左列欠補鍼 右環跳寫鍼  肺兪と風門に補鍼

結果
胆経(環跳)寫鍼で腰痛なし。
術後、鼻塞がりが無くなすっきりするという。

考察
初診と次回では、脾虚から腎虚に変化したが術後に鼻水が止まり診断に間違いは無かったと思う。
いずれにしても右胆経の寫が有効であった。左腰部の炎症をかばって右臀部筋に負担がかかっていたのだろう。

2006.5.30
腰椎分離症

高校2年男子
症状
 中学の時から野球を続けているが当時から腰痛あり病院の検査では脊椎分離症と診断された。前かがみとバットを振る(右打ち)動作が最もつらく、日常も鈍痛で悩まされている。

所見
 L4-L5間に軽度の階段現象。左右トレンデレンブルグtest陽性。左右ハムストリング緊張(左強)。右腸脛靭帯緊張。腎虚胆実。

方針
 通常は分離症だと背屈がつらいものだが、彼は前屈痛がある。ハムストリング緊張のせいであろう。右腸脛靭帯と左ハムストリングの緊張緩と、低下筋の強化を図り、バランスよい体に持っていく事を目的とする。 腰椎の前湾防止のため施術体位は仰臥位(下腿部にブロック)左側臥位(右腸脛靭帯緊張の為)のみとする。

施術
右陰谷、左飛陽に補鍼、右環跳に寫鍼。肩背部に散鍼。腰部の鍼せず。右大腰筋ストレッチ。左大腿四頭筋強化、腹筋強化を図る(軽い抵抗運動)。

経過・考察
 初診から4日間連続加療した後、週1回で1ヶ月間施術した。トレンデレンブルグtest陰性となり動作痛・自発痛軽減する。 前後左右の筋肉バランスをとることが重要と思われる。また、腹筋力も重要だが腹筋運動は大腰筋や大腿四頭筋を使わないようにしないと腰痛を悪化するのでやり方に注意が必要である。 強い運動により悪化するが、ストレッチや筋強化により改善していくと思う。

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